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アットホーム投資 投資コラム 不動産投資Q&A 賃貸管理編:更新料について

不動産投資Q&A

賃貸管理編

更新日:2009/12/24
質問

更新料について

先日、裁判所で「更新料は無効」という判決がでました。現在、更新料を頂いているのですが、この先更新料がもらえなくなるのかが心配です。どうしたらいいのでしょうか。


回答

執筆時点(2009年11月末時点)では複数の裁判が審議(公判)中であり、司法による最終判断が出ていません。事例や裁判官により判断基準が定まっていないので、大変難しいご質問です。

ただ、「賃貸借契約書には更新料を払わなければならない」という記述があるケースが多いと思いますから、更新料が一切もらえないということではないわけです。

では、貸主としてどのように対処をすればいいのでしょうか?以下に記述したいと思います。


1.更新料とは

更新料とは、賃貸借契約を更新する際に借主が不動産業者(貸主)に支払う一時金のことをいいます。更新料については全国一律に設定されているわけではなく、更新料が無い地域もあります。

また、この更新料は法律上払わなければならないというものではありません。
更新料の歴史的な背景としては、土地や貸し借りが始まって以来、更新手続の費用を支払うということが行われるようになり、次第に建物の賃貸借においても更新手続の費用を支払うということが行われるようになってきた経緯があります。

更新料の合理的理由としては、

  • 1.契約締結時の賃料が一般的な賃料水準よりも低い場合の賃料の補完
  • 2.借主が入居しやすいように賃料を低めに設定した場合の賃料の補完
  • 3.賃貸借契約による貸主の損害部分の補完

等が主にあります。

これらの理由により、借主にとっては賃料が安くなるので借り易くなり、また貸主は空室率を減らすことができるので、更新料がすべて悪いというわけではありません。

しかし、問題点もあります。

2.更新料の問題点

以下の点が問題点としてあげられます。

  • 1.民法1条2項
  • 2.消費者契約法10条
  • 3.その他

1つずつ見ていきましょう。

1.民法第1条2項
まず、更新料特約が民法1条2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するといえるかについて検討する必要があります。

民法とは私たち(私人)の生活に関する法律で、私的生活のトラブルに対応する一般的なルールが示されています。

その民法1条2項には以下のような規定があります。

条文
権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。

つまり、自分の権利を行使したり、主張する場合、義務を果たさなくてはいけない場合には、信義に従って誠実にその行為を行なわなくてはならないという規定です。一般的にこの規定を「信義誠実の原則」、いわゆる「信義則」と言っています。

この民法1条2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するか否かは、消費者と事業者との間に情報の質及び量並びに交渉力の格差があること(消費者契約法1条)を考慮して、当事者の属性や契約条項の内容、そして、契約条項が具体的かつ明確に説明され、消費者がその条項を理解できるものであったか等種々の事情を総合考慮して判断すべきだとされています。

更新料のケースでは、賃借人は居住用としてその物件の賃借人となった者であるのに対し、賃貸人は、 貸家業を営み、多くの借家人と賃貸借契約を締結してきたので、建物賃貸借に関する情報を継続的に得ることができる立場なので、このような情報に接してきた期間にも差があるものと推認できるから、両者の間に情報収集力の格差があることは否定できません。

ですから、更新料特約は民法第1条第2項 に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものと判断され無効といえますから、更新料をいただくのは難しいと言うことになります。
2.消費者契約法10条
次に、消費者契約法10条を見てみましょう。

「消費者の権利を制限し、又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第1条第2項 に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。」

賃借人が賃料以外の金員の支払を負担することは賃貸借契約の基本的内容に含まれていませんが、更新料は、賃借人が賃貸人に対し、賃料以外の金員を支払うこととされています。

また、更新料が賃料の補充としての性質を有しているといえるかどうかについては疑問視され、仮にその性質があったとしても、賃借人の義務を加重する特約であると言えます。

さらに、更新料を授受することが慣習化していることを認めるには十分な証拠がありません。

そうすると、更新料特約は(1)に記述する民法第1条2項の信義則に反しており、消費者の義務を加重したものと言えますから、更新料特約は消費者契約法10条に該当し、消費者の権利を制限し、又は消費者の義務を加重する消費者契約であるといえます。

ということで、更新料をいただくのは難しいと言うことになります。

ところが、2009年10月29日の大阪高裁で「更新料は有効」という判決がでました。

この判決では、上記(1)(2)には抵触しておらず、
「更新料は消費者の利益を一方的に害するとはいえず有効」
「更新料が信義則に反する程度にまで一方的な不利益を借主に与えたとはいえない」
と裁判長が判断しました。

借主は上告する方針なので、最高裁の判断が待たれる所です。(2009年11月12日時点)
3.その他
T.高額な更新料
高額な更新料を払うだけの納得できるような理由がないことが問題であると思います。
U.簡易な更新手続き
実際、ほとんどの更新手続きは、新しい契約書面を1枚取り交わすだけのものです。更新手続きには多少の費用がかかるのは納得できますが、果たして家賃1ヶ月分もの費用がいるのかが問題です。
V.借主に周知されていない更新料
賃貸物件情報誌で物件を探すと、更新料は家賃・敷金・礼金などの下の方に小さく書かれています。
しかし、契約をする時に、更新料がどのようなものであるかということをわかっている借主がどれほどいるのでしょうか。この点にも問題があると思います。

3.問題点の解決法

以上のように更新料に関する問題は判断基準が定まっていないため、大変難しい問題になっていますが、解決方法がないわけではありません。

例えば、定期借家権を利用する方法がひとつの解決方法として考えられます。

定期借家権という制度は、平成12年3月1日から新しく制定されました。

旧の賃貸借契約の場合、家主は正当の事由なくして建物の明け渡しを請求できず、また、更新においても法定更新が認められており、賃料の値上げなど応じなくても住み続けることができました。

しかしながらこの定期借家制度は、契約年数を取り決めれば正当事由なく明け渡しを求めることができます。

また、借りる期間が予め決まっているため更新という概念がありません。そのため、更新料が不要となるので、更新料で問題がおこることはなくなります。

非常に効果的な解決方法の一つです。参考にしてみてください。

徳弘 雅志氏
徳弘 雅志氏

ファイナンシャルプランナー(AFP)、M&YFPオフィス代表。

2004年に宅地建物取引主任者、ファイナンシャルプランナーを取得し2007年FPを持つ友人と供に、M&YFPオフィスを設立する。現在、空きマンション等を所有するオーナー様の苦悩を解決するための空室改善コンサルティング事業を展開中。


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