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アットホーム投資 投資コラム 不動産投資Q&A 賃貸管理編:敷金精算の問題と原状回復の問題

不動産投資Q&A

賃貸管理編

更新日:2009/11/19
質問

賃料の増減額請求の問題

先日、借主の方から賃料の減額請求がありました。現在、話し合いをしている所ですが、減額しなければいけないのでしょうか。


回答

確かに、最近は不況や地価の下落とともに賃料の減額請求が増加しております。ただ、減額をしなければいけないのかどうかはオーナーそれぞれの個別の事情によります。

では、どのような対処をすればいいのでしょうか?以下に記述したいと思います。


1.賃料の増減額請求とは

賃料の増減額請求とは、地価の上昇により既存の賃料と市場賃料が乖離した場合や賃貸の需給関係が変化した場合に、賃貸借契約の当事者が既存の賃料を増額あるいは減額する等請求を行うことです。
一般的に不景気等により地価が下がったり、賃貸需要が減少すると、借主がオーナーに対して賃料減額の請求をすることがあります。

一般的な賃貸借契約書では、賃料の増減額請求に関する条項が盛り込まれており、借地借家法11条、同32条でも規定されています。

賃料増減額請求の要件としては、

  • 1.土地若しくは建物に対する租税その他の負担の軽減
  • 2.土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低価
  • 3.その他経済事情の変動
  • 4.近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったとき

の4つが挙げています。

その内容は、オーナーの借主に対する請求権と借主からオーナーに対する請求権です。

最近は質問のように借主からの減額請求が非常に多くなっておりますが、一般的に契約書に詳細な基準などが記述されていないので、そこに問題の本質があります。

2.賃料の増減額請求の問題点

問題点を以下の観点から見ていくことにしましょう。

(1)オーナーからの請求

オーナーからの請求には「減額請求」と「増額請求」があります。

まず、減額請求についてですが、「えっ、そんなことあるの?」と思われる方もいらっしゃると思います。

早々多くあるわけではありませんが、近年では、一度退出されてしまうと中々新しい借主を探すのに苦労し、場合によってはかなりの期間空室になってしまうと言う空室リスクを意識せずにはいられない状況になっています。
そのため、借主の退去による空室を防ぐ為にオーナーから減額を請求することもあります。

減額請求については、差し当たり問題が起きることはありません。
私も1回だけ管理マンションのオーナーさんに、賃料減額したいとの相談を受け、借主に伝えたことがありますが、喜ばれるだけで問題はおこりませんでした。

上記の事から、実際には請求権との前提で請求をすることは少ないので、減額請求ではなく減額の提示となります。

次に増額請求についてですが、バブル崩壊以後、増額請求は激減しておりますので、今コラムはでは割愛させて頂きます。

(2)借主からの請求

借主から賃料について請求する場合は、ほとんどが減額請求です。

減額請求により、オーナーが異議無く認めれば問題はありません。
しかし、オーナーが認めない時には協議が行われることになります。

ここで、問題となるのは協議中の賃料の支払です

最終的には当事者間での協議によりますが、協議が調わない場合、借地借家法第32条3項に従いオーナー、は相当と考える賃料を請求できることとなります。
したがって、オーナーが現行の賃料が相当と考えていればその額を請求できますし、借主はその額を支払う義務があります。

ただし、借主が賃料を減額して支払った場合には、これを賃料の一部として一応受取るという形になります。

もし、借主が継続して減額した賃料を納めた場合には、債務不履行を理由に契約を解除することができることもあります。ただし、賃料の減額を巡ってオーナーと争っているときは、借主は、従前の賃料または自分が妥当と考える新賃料を供託することができます。供託をすることによって賃料不払いの責任を免れることになりますので、賃料不払いによる債務不履行を理由に立ち退きを迫ることができません(民法第494条)。

上記の事を考慮して交渉していくことが望ましいです。

3.賃料減額請求の対処法

解決法を以下の観点から見ていくことにしましょう。

(1)賃料の減額に関する特約

建物の所有を目的とする土地の賃貸借契約において賃料を一定期間減額しない旨の特約を付加させるという手段があります。

この特約を付加させると、借地借家法第11条第1項但書、同第32条第1項但書により、当該期間は、減額請求をすることはできません。

ただし、この特約を付加するに当たって注意点があります。
特約によって賃料の減額請求を妨げることはできないとの判断が下された例もあります。
(平成16年6月29日の最高裁判決)

したがって、特約により減額請求を完全に排除することは不可能ですが、減額請求に対する一定の抑止力になることが考えられます。

(2)定期借家権の活用

定期借家権という制度は、平成12年3月1日から新しく制定されました。

賃料の増減額請求権についても規定されており、定期借家権の場合に限り、賃料の減額にかかる特約を排除することができます。(借地借家法第38条7項)

上記により、契約を新たに結びなおす都度、適正賃料を新たに定めることができますから、普通の借家権のように減額を請求することができません。

定期借家権は、効果的な解決方法の一つです。

4.減額請求の考え方

減額請求は、都市と地方では考え方が違うかもしれませんが、すべてオーナーに不利かというとそうではありません。

最近は、空室率を改善する為に空室になったマンションの借主を募集する時に、値下げや一定期間賃料を請求しない(フリーレント)などをして募集することがあり、事実、そのようなマンションは増加しております。

私が地方で管理しているマンションでもあったことですが、同じ間取りにもかかわらず家賃に違いが出てしまい、不動産情報誌やホームページを通じてその事を他の借主に知られてしまって、結果としてその借主の賃料も値下げすることになり、マンション全体の投資効率を引き下げてしまうことになってしまいました。

上記のような問題を防ぐために当社の管理マンションでも、減額交渉を承認・新規募集で減額すると同時に他の入居者の賃料も減額することで、空室率の増加に一定の歯止めをかけることができました。

所有物件での減額請求の増加は、「空室率が増加する可能性があるよ」という一つのシグナルでもあります。

したがって、借主の減額請求が根拠に基づいた適正な内容であれば、真摯にその請求を受け止めることも必要です。

徳弘 雅志氏
徳弘 雅志氏

ファイナンシャルプランナー(AFP)、M&YFPオフィス代表。

2004年に宅地建物取引主任者、ファイナンシャルプランナーを取得し2007年FPを持つ友人と供に、M&YFPオフィスを設立する。現在、空きマンション等を所有するオーナー様の苦悩を解決するための空室改善コンサルティング事業を展開中。


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