センチュリー21平和開発(株)業務執行責任者
行政書士熊谷・長倉合同法務事務所共同代表
現場管理、企画開発、分譲マンション事業に携った後、不動産の有効利用を専門に多数のプロジェクトを手がける。現在は、行政書士・マンション管理士・宅地建物取引主任者・測量士補等の国家資格を生かし、不動産に関するコンサルタント業務を中心に行う。
借地権付物件を購入する際の注意点 |
借地権付の物件の購入を考えています。購入の際にどのようなことに注意すればいいか教えて下さい。
日本では、不動産を購入する場合、所有権が付く物件が大半をしめますが、「借地権付建物」を購入するケースもあります。借地権は所有権と権利の内容が大きく違います。最初に、まず借地権の物件を購入する時の注意点をあげてみたいと思います。
さて、上記注意点のお話をする前に、まず、借地権とはどのような権利なのか?をお話ししたいと思います。
借地権とは建物の所有を目的として、地主から土地を借りて使用する権利のことです。“建物所有を目的とする” 借地権には、「地上権」と「賃借権」とがあります。地上権の場合はその権利を土地所有者(以下、地主という)の承諾を得なくても、土地上の建物を第三者に売却、転貸することができます。
一方、賃借権の場合、売却するには地主の承諾を得なければなりません。バブルの頃は地主の 「承諾料」(名義書換料)をめぐって問題になることも多くありました。現在ではその承諾料も低額になっている傾向があります。
借地借家法は平成4年8月1日に改正されていますが、それ以前から設定されている借地権には、引き続き旧法が適用されます。旧法ではその存続期間が木造等で最低20年 (法定30年) 、マンションなどでは最低30年 (法定60年) となっています。
これが新法では建物構造に関係なく最低30年 (これ以上の期間は自由) とされました。
また、旧法ではあいまいだった地主からの更新拒絶の要件を、新法では地主・借地人双方の「土地の使用を必要とする事情」を比較して、どちらがより正当性があるかによって、ある程度明確に判断されるようになりました。
その他、平成4年の新法で新たに設けられた「定期借地権」という借地権もあります。定期借地権には 「一般定期借地権」「建物譲渡特約付借地権」「事業用借地権」の3種類がありますが、「一般定期借地権」では、存続期間を50年以上で定めたうえ、借地期間満了時に契約が必ず終了します。また、契約終了時において、建物の買い取り請求をしないことなども定めています。
最初にあげた注意点(1)・(2)・(3)に共通する問題点は、建物の築年数が古い場合、銀行の担保評価はかなり厳しくなるということです。金融機関によっては、借地権付物件の場合は融資をしないケースも多く、また、融資をしても、かなり低い金額しか認めないのが大半です。
借地権付き建物を購入する場合、現金をある程度持っていないと、購入することは難しいのが現状です。
また、借地権付物件の適正な価格がいくらなのか?算定方法が難しいのが現実です。一般的には路線価図等の閲覧により、借地権割合を参考にしながら、完全所有権価格(所有権としての取引価格)に借地権割合を乗じた価格を、借地権の取引価格とみなす方法があります。
ただし、借地権の相場は、各地域によって大きく異なりますので、地元の不動産屋さん等に相談することをお勧めします。
また、投資用のアパートやマンションを購入する場合、年間家賃収入から投資利回り計算をし、価格を決める方法もあります。その場合、借地権付物件は所有権がある物件と違い、権利の内容が弱いので、将来のリスク、例えば、地代の値上げ、更新料の金額、売却する場合の地主さんへ支払う承諾料等々を考慮し、高い利回り(価格を安く)を期待して購入価格を判断する必要があります。
借地権付物件の場合、地上権や賃借権といった登記がなされていない場合がほとんどで、その際には借地契約書の内容が非常に大切になります。契約期間・地代・更新料・承諾料・売却する場合の地主さんへ支払う承諾料、増改築禁止特約の有無などです。
借地権売買においては、借地権の残存期間に注意が必要です。残存期間が短い場合は、購入時に新規で借地契約を締結する前提で、借地権の売買を行なうことをお勧めします。
借地権付物件を購入する場合は、所有権がある物件より多くの注意が必要です。借地権売買について経験が豊富な不動産会社や専門家にご相談して下さい。
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