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不動産投資の今!!

「空き家対策法」の施行と今後の不動産投資

更新日:2015/07/16

昨年(2014年11月19日)、「空家等対策の推進に関する特別措置法案(以下、空き家対策法)」が成立しました。国会解散直前でしたが、重要な法案であるという位置づけから、与野党合意の下で行われた採決でした。この「空き家対策法」がこのほど(2015年5月26日)、全面施行されました。

今回は、この法律の内容について確認するとともに、投資物件への影響についても考えていきたいと思います。

■1. 個人から地域社会へと拡大した「空き家」問題

そもそも、空き家の管理は誰がするものでしょうか? 当然ですが、建物の持ち主(家主)ということになります。ただ、格差社会の進んだ現在の経済状況下、「家計が厳しくなる家主」や「高齢化の進行により適切に判断できない家主」も増えていると言われています。

こうした中、人口減少が進み、2013年10月1日現在の「平成25年住宅・土地統計調査(総務省統計局)」を見ますと、総世帯数(5,245万世帯)よりも総住宅数(6,063万戸)の方がはるかに上回っており、その住宅数の内には実に820万戸もの空き家が含まれているのです。適切に管理できていない建物・家主がいかに増えているのかということを、如実に物語っている数値です。

この空き家の増加傾向は地方だけのことではなく、都市部においても増えており、諸問題を引き起こしています。誰も管理していない土地や建物(空き家)が引き起こす問題としては、主に以下の四つが挙げられます。

  • 「災害の発生」……老朽化による倒壊など
  • 「犯罪の温床」……不法侵入や不法占拠・放火による火災など
  • 「不衛生な環境」…いわゆるゴミハウスの存在やネコ他の動物の住み付きなど
  • 「景観の悪化」……地域イメージの悪化

これらの要因により社会全体の治安が悪化する、つまり、本来空き家問題は「所有者」の適正な管理責任の問題なのですが、上記四つの問題により、近隣住民に深刻な被害をもたらす可能性があるため「地域」の問題として処理せざるを得ない状況になったというわけです。

こうした事態に、まず動いたのが地方自治体(市町村)です。日本で初めての「空き家の適正管理に関する条例(通称:空き家条例)」が2010(平成22)年10月に埼玉県所沢市(所沢市空き家等の適正管理に関する条例)で制定されたのを皮切りに、全国各地の地方自治体で次々に制定され、その数は2014(平成26)年10月現在、401に上ります。

ただ、条例などによって所有者に適切な管理の勧告や命令を行うことはできても、それに従わない場合、適正な行政対応が難しいケースも出てきました。つまり、実際は強制力を伴わない対応しかできない状況が多かったわけです。

例えば、倒壊の恐れがあり地域住民の安全が損なわれると判断された空き家を撤去する場合、地方自治体などの行政機関が所有者に代わって撤去する「行政代執行」などの強制力が必要になります。これにはしっかりとした法的根拠が必要なのですが、その根拠が今まではあいまいでした。従って、その法的な根拠を備える必要があったため、今回の空き家対策法の施行に至ったわけです。

■2. 「空き家対策法」制定の施策ポイント

前述のような背景から成立した「空き家対策法」には、大きく二つのポイントがあります。

●一つ目は、老朽化や管理不全などにより倒壊の恐れがあるなど問題のある危険な空き家を「『特定空家(※)』と認定し、行政が強制力を持った対応ができるようになった」ことです。

実は、空き家の総数820万戸の内、318万戸は世帯が長期にわたって不在あるいは建て替えのため取り壊すことになっている住宅(空き家の種類としては「その他」)とのデータがあります。こうした利用されてない家屋が多い理由には、固定資産税の住宅用地特例という優遇措置によるところが大きいのです。これは、「土地上に住居があれば、土地200uまでは固定資産税を更地の場合よりも6分の1に、200uを超える場合は3分の1に減額する」というものです。逆に考えれば、家を壊して更地にすると土地に対する固定資産税が6倍あるいは3倍になるため、どんな形状であっても建物を残しておく方が得だから……という考えに結び付いてしまったのです。

しかし、この件に関しては本年度(2015年度)の国土交通省の税制改正要望を受けて、2016年以降は「特定空家等」の勧告を受けると固定資産税などの住宅用地特例から除外されます。

※「特定空家」とは

  • (1)倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
  • (2)著しく衛生上有害となるおそれのある状態
  • (3)適切な管理が行われないことにより、著しく景観を損なっている状態
  • (4)その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態

<「空家対策の推進に関する特別措置法」2条2項より>

●二つ目は、「空き家等の情報収集に関する市町村長の権限の拡大」です。

これまで自治体担当者にとって、登記があいまいで空き家の所有者が分からないという課題がありました。「市町村は、固定資産税などの課税のための個人情報を持っているのだから使えばいいのに」という発想も、公示手段である(公開が前提の)登記と違い、固定資産課税台帳に書かれている情報は個人情報に当たるため非公開が原則で、役所内であっても勝手に閲覧などできない状況でした。それが今回の法律の施行によって、必要な範囲において登記や固定資産課税台帳に関する情報利用が可能に。また、「特定空家」の判断を目的とした立ち入り調査の権限も与えられ、空き家の所有者の把握をはじめ、関連する情報の収集が効率的に行えるようになりました。

なお、上記の空き家への立ち入り調査を所有者が拒んだ場合、20万円以下の過料に処せられます。また「特定空家」と判断され、建築物の除却・修繕などの措置を取らず、その後の市町村長の命令に違反した場合には、50万円以下の過料に処せられます。

■3. もし、投資物件が空き家になってしまったら……

これまで自治体が中心になって進められてきた空き家対策ですが、このたびの「空き家対策法」によって国を挙げての取り組みになったわけです。

もし、空き家となってしまった投資物件を所有しているとしたら、まず、建物を改修などして賃貸経営=投資を継続するのか、あるいは建物を解体撤去して土地を売却する=積極的に投資を終了させるかの決断をする必要があるでしょう。人が住まなくなった家は急速に傷むものです。何も対策を立てず、消極的な考えのまま時間が過ぎていくと、後々大きな代償を支払うことになってしまいます。そうならないためにも、早急に、行動を起こすべきでしょう。

とはいえ、結論を下すまである程度の検討期間が必要なケースも考えられます。そのような際には、ハウスメーカーや不動産会社などが展開している、空き家を巡回して点検や清掃を行い、状況を報告してくれるサービスを利用するのも建物保持の一つの方法です。

検討の結果、賃貸経営を継続していくことになったら、それまで以上に、立地、需要層、経費把握など、しっかりとした経営感覚を持って臨む必要があります。今後、中古住宅の流動化促進により、賃貸経営にシフトする物件も増えてくるでしょうから、思わぬライバルが出現するかもしれません。

私見ですが、もし、差別化戦略をとるのであれば、マネをしようにも難しい、管理や保守などのサービスレベル向上を念頭に置くことをおすすめします。

行政も管理レベルの向上を中長期の住宅政策の中でうたっていますので、空き家対策と並行して、管理の課題処理も進められるでしょう。中古住宅といえども、質の高さがますます問われる時代へとなってきそうです。

佐藤益弘
マイアドバイザー.jp登録
佐藤益弘

(株)優益FPオフィス代表取締役
マイアドバイザー(R)登録
CFP(R)資格認定者(J-90032758)

某メーカーの不動産部門にてマンション開発・販売統括・管理支援などの主任を務める中、FP資格を取得。2000年8月より独立系FPとして独立。3つの独立系FP会社設立に参画。
現在、顧客サイドに立ったシンの独立系FPのネットワーク確立のため、(株)優益FPオフィス代表として活動中。


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