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不動産投資の今!!

「民法改正」でどう変わる? 敷金と原状回復の考え方

更新日:2015/01/15

新年になりました。春には新たに2015年度がスタートします。入学や入社、転勤等々で新しい生活が始まるという方が多い季節です。賃貸経営においても退去や入居が集中する時期でもあります。そこで今回は、入退去時にトラブルが生じやすい「原状回復」、「敷金」ついて考えてみたいと思います。

■「原状回復」「敷金」をあらためて見直してみると

「原状回復」とは、簡単に言えば「元の状態に戻す」ことです。賃貸物件の原状回復をめぐってはトラブルが多いため、国土交通省がガイドラインを発表しています。それによると、「原状回復とは、賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損(きそん)を復旧すること」と定義されています。ただ、あくまでもこれはガイドラインに過ぎないため、全ての契約がこの定義に沿うものとは限りません。

「敷金」とは、ご存じの通り賃貸借契約時に賃借人が支払うお金の一つで、オーナー側は、賃借人の家賃滞納や、部屋を汚したり壊したりした場合の修繕費に充てるための担保として預かります。

■敷金返還をめぐるトラブルに関する事例

原状回復や敷金をめぐるトラブルが多いとお話をしましたが、どのようなトラブルがあるのでしょうか。独立行政法人国民生活センターに紹介されていたケースを見てみましょう。

入居者は、不動産会社から木造建物を賃借し、契約時に敷金として14万2千円を不動産会社に預けました。2年8カ月後に賃貸借契約が終了したので、入居者は物件を不動産会社に明け渡しました。この際、不動産会社が、入居者に対してリフォーム代金として12万2,312円(内訳:ルームクリーニング費用3万円/ガスコンロ内部クリーニング費用4,000円/畳表替え費用2万2,500円/クロス張り替え費用5万4,750円/クロスクリーニング費用7,500円/消費税3% 3,562円)を請求し、敷金との差額1万9,688円を返金する旨を通知しました。この通知に対して入居者が敷金全額の返還を求めたところ、不動産会社が納得せず裁判となったというケースがあります。

このケースでは、入居者は配偶者と共にこの賃貸物件に居住していた3年弱の間、二人ともたばこは吸わず、夫婦共稼ぎの生活を送っており、退去するまで賃料はもとより公共料金の未払いはー切ありませんでした。退去時には通常の清掃をした上、ガスコンロは入居者が設置したものでしたが、次の入居予定者の希望により残しています。

このような状況から、入居者が通常の使用収益を超えた方法により発生させた毀損個所を認めることはできないという事実が認定されました。よって、社会通念上通常の方法により使用されたものと認められ、自然ないしは通例的に生ずる損耗以上に悪化していることを認めるに足りる証拠はないと裁判において判断され、入居者に敷金全額を返還すべきであるという結論に至りました。

■民法改正案に見る敷金ルールとは

国土交通省のガイドラインはあるにせよ、今まで曖昧(あいまい)にされてきた原状回復の定義と敷金のルールが前述のようなトラブルを招く原因の一つと考えられます。現在、民法改正論議が進められており、2015年には通常国会に改正案を提出する方針とのこと。「国民に分かりやすい民法」を目指すこのたびの民法改正によって、このような曖昧なルールが明確化されるもようです。

実は、現在の民法にも敷金についての記載はありますが、その範囲や返済義務の要件などについては記載がありません。また退去する際の原状回復についても、先述のガイドラインにある「通常使用による損耗は対象にならない」というような明文化された規定もありません。

しかし、今回の民法の改正案では、敷金を「賃料など金銭債務を担保する目的で、借り主が貸し主に対して交付する金銭」、また原状回復義務については「通常の使用による損耗や経年変化は含まない」とそれぞれ定義されています。つまり、借り主がごく一般的な使用をして、退去の際にごく一般的な清掃をした場合、居住期間における経年劣化を修繕するための費用(クロスの張り替えや、ルームクリーニング費用等)に、敷金を充てるのではなく、原則として賃貸人が自ら負担する必要があるということがルール化されることになります。

■今後は敷金についてどう考えておく必要があるか

今までは、オーナーの考えや地域の慣習等で解釈されてきた原状回復や敷金の扱いから、先のトラブル事例とその結論を見て、なぜ敷金を返還しなければならないのか理解に苦しむオーナーもいらっしゃるかもしれません。しかし今後、先述の結論がスタンダードになる可能性が大きいでしょう。

改正されてから対応を考えるのではなく、今から、「敷金は一般的には全額返金するものである」という意識の下で、退去時のメンテナンス費用等を不動産投資の計画に組み入れて収支を考えておく必要性があるのではないでしょうか。

キムラ ミキ
マイアドバイザー.jp登録
キムラ ミキ

ラフデッサン代表
ファイナンシャルプランナー 宅地建物取引主任者 社会福祉士

鳥取県米子市在住。外資系生命保険会社を経て、マンションディベロッパー、不動産仲介業の営業を経験。現在はFP事務所ラフデッサン代表として、笑い(ラフ)のある生活設計のご提案をモットーにコラム執筆業務のほか、 セミナー講師、個人向けFP相談を務めるなど多方面で活躍中!


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