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アットホーム投資 投資コラム 不動産投資の今!! 最高裁で賃貸住宅の更新料「有効」の判決

不動産投資の今!!

最高裁で賃貸住宅の更新料「有効」の判決

更新日:2011/8/4

7月15日、最高裁第二小法廷は、賃貸住宅の契約で更新料の支払いを定めた条項が、「高額過ぎるなどの特段の事情がない限り有効」と初めての判断を示した。問題となったのは3件の契約で、内訳は、更新料を「1年ごとに家賃約2カ月分」としたのが2件、「2年ごとに家賃2カ月分」としたのが1件。貸主にとっては、ひとまず「胸をなでおろす」、借主にとっては「厳しい」結果となりました。

更新料は、約40年前から主に京都や首都圏で慣習化したと言われ、現在、更新料の支払いが盛り込まれている契約の件数は全国で100万件以上と見られています。今回の判決は、今後、まだ審理が続いている同様の訴訟に与える影響も少なくないでしょう。今回はこの「更新料問題」についてお話ししていきます。

消費者契約法の施行が背景

今回の提訴のきっかけは、平成13年4月1日から施行された「消費者契約法」にあります。消費者契約法は、一言で言えば「消費者の利益保護を目的とした法律」。この法律ができた背景としては、消費者と事業者の間には、取り引きに関する情報の質および量さらには交渉力において大きな格差があること、その事実を前提に、消費者に対して自己責任を問える環境を作るための民事ルールを定めようとしたというところにあります。

消費者契約法は、消費者と事業者との間の契約において、事業者が、重要な事項について事実と異なることを告げることにより、消費者が誤認したような場合などにはその契約を「取り消す」ことができるとし、また、消費者の利益を不当に害することとなる契約条項は「無効」とすることにより、消費者の利益を擁護しようとしています。

消費者契約に該当する不動産取り引きとしては、賃貸マンション、賃貸アパート、貸家を経営者が、個人である賃借人(借主)と締結する賃貸借契約や、不動産業者が売主となり、一戸建て住宅やマンションなどを個人の一般顧客に分譲する契約などが該当します。
 なお、今回の提訴の根拠となった条項は、以下のとおりです。

<消費者の利益を一方的に害する条項の無効>

第10条

民法、商法その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し、消費者の権利を制限し、または消費者の義務を加重する消費者契約の条項で、民法第1条第2項に規定する基本原則(信義誠実の原則)に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。

この条項を受けて、消費者側は、建物の賃貸借契約において、契約を更新して住み続けるのは借主に当然認められる権利で、家賃以外の金銭を徴収する条項は実費徴収を除いてすべて「無効」と主張したというものです。一方、最高裁は、更新料が契約書に明示されており、特段の事情がない限り「消費者利益を一方に害するものではない(≒上の条項の「信義誠実の原則に反して消費者の利益を一方的に侵害する契約」には当たらない)と判断しました。

今後の見通し

更新料の条項を盛り込んだ契約書を交わしておきながら、あとから「無効」と訴えるのはビジネス的な観点からみると筋違いという意見もあるようです。また、仮に今回、最高裁が更新料は「無効」と判断したとしたら、消費者契約法が施行された平成13年4月1日以降に支払われた更新料はすべて無効という話になり、全国で貸主への返還請求が頻発し、大混乱が生じた可能性は否定できないでしょう。さらには、貸主が変わっていた場合、返還義務は前の貸主にあるのか、今の貸主にあるのかといった問題が出てくることも想定されます。今回の判決で、ひとまずこういった懸念はなくなったといえます。

しかし、更新料には、法的な根拠が明確にはありません。「礼金」についても同様です。あくまで商慣行上、認知されているという位置づけです。消費者保護の流れは変わっていないので、今までどおりに「商慣行ですから」というわけにはいかないでしょう。今後は、借主が納得できる説明を行う必要性が高まるといえます。

さらには、昨今、賃貸住宅市場は、一部の物件を除いては、「借り手優位」な環境にあるといえます。今回の判決の結果を受けて、さも当然のように更新料を徴収したり、便乗して更新料を増額するのは、ほとんどの物件では難しいと思われます。

不動産投資家サイドとしては、更新料や礼金などは含まずに、物件の収支を分析すべきでしょう(すでにそのようにしている人は多いと思いますが)。

大倉 修治
マイアドバイザー.jp登録
大倉 修治

株式会社ファイナンシャル・マネジメント
CFPR、1級FP技能士、宅地建物取引主任者

大手住宅メーカー、住宅・マンションディベロッパー、外資系生命保険会社を経て現職。
現在、独立系FPとして主に一般生活者に対するコンサルティング業務や各種セミナーの講師、マネー誌等への寄稿などを行う。


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