大倉 修治
CFPR、1級FP技能士、宅地建物取引主任者
大手住宅メーカー、住宅・マンションディベロッパー、外資系生命保険会社を経て現職。
現在、独立系FPとして主に一般生活者に対するコンサルティング業務や各種セミナーの講師、マネー誌等への寄稿などを行う。

総人口が1年間で183,000人減少 |
4月に公表された総務省の人口推計年報によると、日本の総人口が、平成20年10月から平成21年9月までの1年間に183,000人(0.14%)減少したとのことです。平成17年に戦後初めて前年(平成16年)を下回って以来、人口減少が続く中で、最大の減少幅となっています。
国立社会保障・人口問題研究所の人口統計資料集(2010)によると、平成18年12月推計人口(出生、死亡中位推計)では、今後も減少幅の拡大が続き、2039年には前年と比べて人口が100万人超減少する見通しとなっています。
| 年次 | 人口(単位:千人) | 人口増加 (前年比) |
||
|---|---|---|---|---|
| 総数 | 男 | 女 | 実数 (単位:千人) |
|
| 2010 | 127,176 | 61,868 | 65,309 | -219 |
| 2011 | 126,913 | 61,698 | 65,215 | -264 |
| 2015 | 125,430 | 60,806 | 64,624 | -431 |
| 2020 | 122,735 | 59,284 | 63,451 | -606 |
| 2025 | 119,270 | 57,406 | 61,864 | -745 |
| 2030 | 115,224 | 55,279 | 59,944 | -850 |
| 2035 | 110,679 | 52,953 | 57,726 | -947 |
| 2039 | 106,720 | 50,974 | 55,746 | -1,013 |
| 2040 | 105,695 | 50,467 | 55,227 | -1,026 |
| 2045 | 100,443 | 47,898 | 52,545 | -1,060 |
| 2050 | 95,152 | 45,320 | 49,832 | -5,291 |
| 2055 | 89,930 | 42,748 | 47,182 | -5,221 |
以前から言われている、ライフスタイルの多様化、将来の先行き不安などを背景とした「出生率の低下」、「超高齢社会への突入」が、このような推計になる主な要因となっています。
人口を中長期的に維持していくためには、出生率が2.07程度になる必要があると言われています。ちなみに、日本の出生率は1.37(平成20年)、アメリカはこの数字(2.07程度)をクリアしており、韓国は日本よりも低くなっています。
総人口の減少は、不動産投資には全般的な話としてはマイナスといえます。ただ、不動産は個別性が強いので、投資に際しては総人口(=全体)だけでなく、地域毎に細かく分析する必要があります。
地域間の格差の要因の一つともなっている「都道府県別の人口」について見ていくことにします。冒頭の総務省の調査によると、人口が増えている都県があります。
沖縄県が最も増加率が高く(+0.45%)、次いで神奈川県、千葉県、埼玉県、東京都、滋賀県、愛知県、計7都県は前年に比べて人口が増えています。一方、減少しているのは、秋田県(−1.10%)、青森県、島根県など40道府県です。
ちなみに、東京都(全体の10.1%)、神奈川県、大阪府、愛知県、埼玉県の5都府県で総人口の35.4%、これに千葉県、兵庫県、北海道、福岡県の人口を加えた計9都府県で、総人口の52.9%を占めています。
なお、人口は自然増減(出生児数−死亡者数)」だけでなく、ライフスタイルや就労形態の変化、政策的なことなどの「社会的な要因」による影響も受けます。都道府県別の人口の推移を予測する上では、留意しておいた方が良いでしょう。
日本の人口に関することで、一番大きな問題点は、「年齢別の人口構成」といっても過言ではないでしょう。「年少人口(0〜14歳)」、「生産年齢人口(15〜64歳)」、「老年人口(65歳以上)」の年齢3区分別の人口を都道府県別でみると、すべての都道府県で前年と比べて「生産年齢人口」の割合が減少し、「老齢人口」の割合が上昇しています(総務省の調査)。「年少人口」の割合については、東京都だけが上昇しています。
賃貸住宅の入居者の主なターゲットは、「生産年齢人口」の年齢層となります。ただ、「老年人口」が増えていること、それが避けられないことは見過ごせません。今後は、投資する物件が設備・仕様面等で、高齢者に対応できるかどうかについても問われてくるでしょう。
ちなみに、「生産年齢人口」については、平成7年から減少しています(総人口の減少は平成16年からです)。これは、「労働力人口」が減少しているということですから、個人消費、住宅投資、設備投資といった経済成長に関わる要素に少なからずマイナスの影響があるという話になります。(生産年齢人口の定義を変えれば、話は変わってくるという議論はありますが…)
どういった入居者をターゲットにするかという意味では、世帯の構成(形態)およびその数(世帯数)の推移についても押さえておく必要があります。大まかには、「単身世帯」、「夫婦子どもなし世帯」「夫婦子供あり世帯」のいずれかが主なターゲットになります。地域毎にチェックしておくと良いでしょう。
以上のような点については、まずは、「総務省」や「国立社会保障・人口問題研究所」のホームページで公表されているデータなどで確認すると良いでしょう。
人口に関することは、不動産(マンション)投資という“事業”における賃料収入(≒“売上”)の見通しに係わる話ともなります。投資エリアを選定する上でははずせないポイントといえます。

大手住宅メーカー、住宅・マンションディベロッパー、外資系生命保険会社を経て現職。
現在、独立系FPとして主に一般生活者に対するコンサルティング業務や各種セミナーの講師、マネー誌等への寄稿などを行う。