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「購入形態」の違いによる税務上の比較

不動産投資の規模を大きくすることを検討している人にとって、税金対策は重要な検討項目の一つかと思います。今年度の税制改正がどのように決着するかは現時点では定かではありませんが、高所得者への課税強化、法人税の減税が検討されている中、今後は個人と法人の税負担のバランスを考慮した戦略を立てる必要性が高まってくるといえます。平成23年度税制改正案の目玉とされる、資本金1億円以下の中小企業の所得金額のうち、年800万円以下の部分に適用される軽減税率を18%から15%へ引き下げるという案は、引き続き協議中となっています。ただ、現在の18%の軽減税率(本則では22%の税率)については、そもそもは平成23年3月31日までの特例措置でしたが、平成24年3月31日まで延長されることが決まりました。「法人税の税率軽減」という方向性は変わっていないように思えます。

今回は、会社員(以下、Kさんとします)が、投資用不動産を個人名義で購入した場合と法人を設立して法人名義で購入した場合の税務上の比較を中心にお話したいと思います。

更新日:2011/7/21

シミュレーションの前提

【共通の前提】

  • 中古の鉄筋コンクリート造の賃貸マンション1棟を購入
  • 年間の家賃収入:1,260万円
  • 不動産賃貸経営上の運営費:260万円
    (便宜上、投資初年度の経費は加味しないものとします)
  • 投資初年度の借入金利息:213万円
  • 減価償却費:480万円

  • Kさんの会社員としての年収(給与収入):1,000万円
  • Kさんの家族構成:妻(専業主婦)と子2人
    (所得税の計算上、扶養控除の対象にはならないものとする)
  • Kさんの社会保険料控除の額:120万円
  • KさんおよびKさんの妻の生命保険料控除の額:5万円

※上記の数値は概算値とご理解ください。

<ケースA>

  • Kさん個人名義で物件を購入

<ケースB>

  • 新規に設立した法人名義で物件を購入
  • Kさんの妻を代表取締役とし、その役員報酬を240万円に設定

シミュレーションの結果

以下は、ケースAおよびケースBの税額計算のシミュレーション表です。

<ケースA>

購入前購入後
Kさんの給与所得(※1)780万円780万円
不動産所得(※2)307万円
所得控除額の合計(※3)▲201万円▲201万円
合計(課税所得)579万円886万円
Kさんの所得税(※4)730,500円1,401,800円
Kさんの住民税(※5)585,500円892,500円
税額合計1,316,000円2,294,300円

<ケースB>

購入前購入後
個人Kさんの所得税(※6)730,500円806,500円
Kさんの住民税(※7)585,500円623,500円
Kさんの税額合計1,316,000円1,430,000円
Kさんの妻の給与所得(※8)150万円
Kさんの妻の所得控除額合計(※9)43万円
Kさんの妻の所得税(※4)53,500円
Kさんの妻の住民税(※10)113,500円
Kさんの妻の税額合計167,000円
法人法人の課税所得(※11)670,000円
法人に対する税額(※12)約200,000円
税額の総合計1,316,000円1,797,000円

(※1):給与収入(1,000万円)−給与所得控除(220万円)で計算
(※2):家賃収入(1,260万円)−不動産賃貸経営上の運営費(260万円)−借入金利息(213万円)−減価償却費(480万円)で計算
(※3):基礎控除(38万円)+配偶者控除(38万円)+社会保険料控除(120万円)+生命保険料控除(5万円)=201万円(住民税計算上は194.5万円)
(※4):以下の<所得税の速算表>を用いて計算
(※5):住民税の計算上、所得控除額が所得税とは異なる部分があり、所得控除額の合計を194.5万円として、以下の<個人住民税の速算表>を用いて計算
(※6):Kさんの妻に役員報酬が発生するため、(※3)から配偶者控除を除いた所得控除額の合計(163万円)を基に計算
(※7)住民税の計算上、所得控除額が所得税とは異なる部分があり、所得控除額の合計を156.5万円として、以下の<個人住民税の速算表>を用いて計算
(※8):給与収入(240万円)−給与所得控除(90万円)で計算
(※9):基礎控除(38万円)+生命保険料控除(5万円)で計算。社会保険料は考慮せず
(※10):住民税の計算上、所得控除額が所得税とは異なる部分があり、所得控除額の合計を36.5万円として、以下の<個人住民税の速算表>を用いて計算
(※11):ケースAと同様の前提とし、最後にKさんの妻の役員報酬(240万円)は法人の損金(≒経費)になるため、その分を差し引いて計算
(※12):法人税、法人事業税、法人住民税の合計で、かつ、法人事業税が損金になることを加味した実効税率を29〜30%程度として試算。ただし、ここでの税率は税制改正により、軽減される可能性があります

<所得税の速算表>

課税所得の金額(A)税率(B)控除額(C)
195万円以下5%0円
195万円超 330万円以下10%97,500円
330万円超 695万円以下20%427,500円
695万円超 900万円以下23%636,000円
900万円超 1,800万円以下33%1,536,000円
1,800万円超40%2,796,000円

税額=(A)×(B)−(C)

<個人住民税の速算表>

課税所得の金額(A)税率(B)
一律10%

税額=(A)×(B)

所得税は、上記の<所得税の速算表>のとおり、課税所得の金額が増えれば増えるほど、税率が高まる「累進課税構造」となっています。 <ケースA>では、Kさんの給与所得に不動産所得が丸ごと上乗せされる形になるため、課税所得の金額が大きくなります。 その結果、Kさん個人の税額負担が約229万円となり、購入前に比べると税額が大幅にアップしています。

なお、ここでの試算は、「青色申告を行った際の税務上のメリット」などを加味していませんので、その点はお含みおきください。

<ケースB>は、Kさんの課税所得は変わらず、新たに専業主婦だったKさんの妻と法人に所得が発生する形になります。 しかし、Kさんの妻に「所得を分散」したこと、課税対象となる所得の金額が少ない(「所得の圧縮」ができている)ため、税額の総合計はそれほど高まっていません。 トータルで約180万円ですから、<ケースA>と比べるとかなり抑えられているといえます。

まとめ

法人設立にはメリットだけでなく、法人の設立費用や税理士に対する報酬など新たな費用が発生するといったデメリットもあります。 また、個人の属性や金融機関によっては、法人名義で不動産購入のための融資を受けられないこともあります。

ただ、冒頭にも触れましたとおり、現時点で考えられる今後の税制改正の方向性からすると、 手元に残るお金を増やすためにも、税金の仕組みをよく理解した上で戦略を練っていく必要があるといえます。

税務対策に関することは、その個人を取り巻く状況によっては、検討する必要があるなど個別性が強いので、 実行に際しては税理士等の専門家によくご相談ください。

大倉 修治
マイアドバイザー.jp登録
大倉 修治

株式会社ファイナンシャル・マネジメント
CFPR、1級FP技能士、宅地建物取引主任者

大手住宅メーカー、住宅・マンションディベロッパー、外資系生命保険会社を経て現職。
現在、独立系FPとして主に一般生活者に対するコンサルティング業務や各種セミナーの講師、マネー誌等への寄稿などを行う。


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