「頭金なしでも不動産投資ができる」
ここ数年、そんな謳い文句をよく目にします。
現在の融資を取り巻く環境においては、「頭金なし」でというのは難しくなっています。しかし、不動産投資は、全額を自己資金で用意できなくても購入する不動産を担保にローンを組むことによって、行うことができます。
では、自己資金とローンの割合はどのように決めていけばよいのでしょうか?
留意すべき点について、頭金とローンの割合が異なる、AさんとBさんの2つのケースでのシミュレーションを基に見ていくことにしましょう。

「頭金なしでも不動産投資ができる」
ここ数年、そんな謳い文句をよく目にします。
現在の融資を取り巻く環境においては、「頭金なし」でというのは難しくなっています。しかし、不動産投資は、全額を自己資金で用意できなくても購入する不動産を担保にローンを組むことによって、行うことができます。
では、自己資金とローンの割合はどのように決めていけばよいのでしょうか?
留意すべき点について、頭金とローンの割合が異なる、AさんとBさんの2つのケースでのシミュレーションを基に見ていくことにしましょう。
Aさんは、頭金の負担をなるべく軽くしたいと思い、物件価格の5%=75万円(1,500万円×5%)のみとしました。
Bさんは、「住宅購入時には頭金をある程度充当した方が望ましい」といった話もあるのでと思い、物件価格の30%=450万円(1,500万円×30%)充当することにしました。
利回りではAさんの方が、税引き前のキャッシュフローではBさんの方が上回っています。
現在のような低金利の状況下であれば、Aさんのように少ないローンの頭金の額でも高い利回り(レバレッジ効果)を期待することもできます。
レバレッジとは、「てこ」のことをいいます。「てこ」は小さな力で重いものを動かす道具です。レバレッジ効果とは、「てこ」のように小さな資金で大きな利益(リターン)を得ることをいいます。
現在の低金利の状況においては、期待できる利回りよりも借入れのための金利の方が低いため、借入金を増やすことによって、投資する頭金に対する利回りは上昇します。
では、リスクはないのでしょうか?
純営業収益(NOI)を引き下げるような以下のような事態になると、利回りは低下し、場合によっては、収益は赤字になります。
Aさんのケースでは、空室率の上昇や家賃の下落などによって、年間の純営業収益が16%程度低下してしまうと、税引き前のキャッシュフローは赤字になってしまいます。
一方、Bさんのケースでは、年間の純営業収益が35%低下したとしても、税引き前のキャッシュフローは黒字を保つことができます。
では、「自己資金とローンの割合をどのように決めていけばよいのか?」
「投資家のリスク許容度がどれくらいあるか?」 また、「投資家がどれぐらいのキャッシュフロー(現金収入)を得たいのか?」といった投資家のスタンスによって答えは変わります。
「リスク許容度」とは、どの程度リスクを受け入れることができるのか、その度合い(範囲)のことをいいます。
リスク許容度は、収入や資産の状況、投資に関する経験や知識など個別の事情によって変わります。投資に際しては、まずは、投資するご自身の収支および資産の現状を把握することから始めると良いでしょう。
さらに、不動産投資に限ってみると、純営業収益(NOI)を引き下げるような事態(家賃収入の減少、ローン金利の上昇、予想以上の修繕費の発生)が起こったときのことを想定して、事前に何パターンかシミュレーションする必要があります。この点に関する詳細は、また別の機会にお話しします。
不動産投資における目標(ゴール)は、「将来、どれぐらいのキャッシュフローを得たいか」といった点に尽きるといっても過言ではありません。利回りにとらわれ過ぎると本末転倒になってしまうこともあるということです。
まずは、不動産投資を行うことで「将来、経済的にどういった状態を作りたいのか」といったことふまえて投資の戦略を練る必要があるといえます。
以上のとおり、自己資金とローンの割合の設定については、「リスク許容度」、「将来の目標キャッシュフロー」などを勘案した上で検討するとよいでしょう。

大手住宅メーカー、住宅・マンションディベロッパー、外資系生命保険会社を経て現職。
現在、独立系FPとして主に一般生活者に対するコンサルティング業務や各種セミナーの講師、マネー誌等への寄稿などを行う。